自分のことは自分で決めたい。この意志を「自分たち」に適用したとき、それは自分たちのことは自分たちで決めたいという、デモクラシーを求める心理の基盤となる。だが自分だけで決めることと、自分たちで決めることには、大きな違いがある。一と多の違いだ。 多数の異なる意見から、一つの決定を導かねばならない。満場一致は理想的だが、それを実現するのは容易でない。延々と話し合いをしても決着は付かない、全員が納得する結論にはなかなか至らない。ではどうするか。 だから多数決をするのだ、と簡単に話を切り上げてはいけない。多を一に結び付ける方式、集約ルールは、多数決だけではないからだ。むしろ多数決はさまざまな集約ルールのなかでは、かなり出来が悪い。 有名な例を挙げよう。2000年のアメリカ大統領選挙では、共和党のブッシュと民主党のゴアが、二大政党の擁立する主要候補だった。事前の世論調査ではゴアが有利だったが、途中で「