「出版業界の未来と本の未来は同じではない」、というのが本書での主張のひとつだ。確かに、紙媒体であることを前提とした書籍は売り上げが減少していたり、インターネットや電子書籍などの登場などにより、縮小再生産の道をたどっているかもしれない。けれども、本書で提唱されているのは、「本」を狭い定義の中に押し込めないということである。「あれもこれも本かもしれない」と考えることが、これから「本」の仕事をするにあたっての重要なことになってくるのだという。 「本」の定義を拡張するとは具体的にどういうことだろうか。それは本書の中で多くの事例を挙げながら説明されているが、「本」という概念をスキーマのように捉えてみるとわかりやすいかもしれない。フロイト派の精神分析家、ジャック・ラカンは「無意識は一つの言語活動として構造化されている」といったが、つまり、「本」という言葉の持つ意味のまとまりや機能の方を主体とする時、そ
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