「本を通じた人とのつながり」を設計する。それは私が学生の頃から追い求めてきた課題である。エリザベス・ロング1)は,アメリカで開催されている読書会のフィールドワーク調査を行い,読書会が参加者に引き起こす社会的な作用について研究した。その結果として,本について語るということは自己開示をもたらし,読書会ではその開示された自己を参加者間で共有することで,強い結束をもつコミュニティを生み出すことを明らかにしている。もし「本を通じた人とのつながり」を意図的に形成し,読者同士の相互作用を誘発する場を作り出すことができれば,きっと社会に何らかの影響をもたらす大きな原動力となるのではないだろうか。そこで,本稿では「本を通じた人とのつながり」の設計の探求の中で出会った3冊の本を紹介する。 まず,「本を通じた人とのつながり」を明確なルールが設定されたゲームとして設計した例として,ビブリオバトルが挙げられる。ビブ