「境界線のこちら側から芸術ができること」、『透明な隣人 ~8 -エイト-によせて~』作・演出: 西尾佳織(鳥公園)/ドラマトゥルク: 岸本佳子(空[utsubo]) 1. 『8ーエイトー』。この戯曲はアメリカ・カルフォルニア州で実際に起きた同性間の婚姻の合憲性を問う裁判を題材にしている。とあるゲイの政治家の生涯を描いた映画『ミルク』の脚本を担当したダスティン・ランス・ブラックによって書かれたものだ。ブラック自身もまた、同性愛の当事者でもある。 当初、演出家の西尾佳織さんはこの原作に基づいた形で上演する予定だったという。けれども実際には、この戯曲を「モチーフ」としながらも、新たに書き下ろす形となった。 その理由は、この『8 -エイト-』という戯曲を元に演劇をおこしていく中で、演出家が根本的な違和感を抱いたからだ。 2. この『8』は「同性婚を法律上で認めさせる」というはっきりとした目的を持っ