新型コロナウイルス感染拡大を受けて、僕の生活圏に緊急事態宣言が出るらしい。すでにサービス業を中心に影響が出ている。僕の周辺でも、先月の終わりに、ときどき顔を出していた料理屋がひっそりと営業を終えた。昭和40年頃から営業している、オヤジさんとオバちゃん二人で切り盛りしてきた、昼はラーメンからカツ丼、焼き魚、夜は酒とおつまみを出す、カウンターとテーブル2卓の小さな店だ。愛想も換気もよくない、安いわけでも特別旨いものを出すでも、その土地の食材を出すわけでもない、いかにもかつかつでやっているような、そんな店だ。 オヤジさんは80近い高齢だが、まだまだ元気だ。「常連さんが来てくれるうちは…」と頑張っていたが、先月からの売上ガタ落ちで辞める決心がついたらしい。何十年もやってきた店。積み重ねてきた年月の重さに似つかない、入り口に貼られた一枚の紙切れ、「閉店のお知らせ」。政治家は「自粛のお願い」と簡単にい