岩田正美『現代の貧困』、および「前衛」07年7月号 格差とは貧困の問題だ ぼくは斎藤一なる「社会問題研究家」の一文を評して、 「格差を否定する議論や肯定する議論がかまびすしいなか、『格差』を問題にするだけでは単にその問題を解決できず、『格差という相対的把握に、最低生活という絶対的視点を導入する必要がある』『「貧困」という視点から格差の拡大をとらえ直さなければならない』とする。『不平等は、社会の他の構成員の不利益を招かない限りにおいて、是認される』というロールズの正義論を逆説的にひいて、“どこまでが耐えられる貧乏か”を考えないといけないという。斎藤が設定するのは生活保護ラインである(生活保護を受けないで最低限の生活するためには、税や社会保険などで生保世帯の所得の×1.4が必要という)。斎藤の試算では、生保ライン以下の世帯は生保世帯以外にも勤労層のなかに大量に存在し(斎藤は1割とみている)、高