東京都写真美術館の「芸術写真の精華」展は、久しぶりに写真を考える機会になった。サブタイトルが「日本のピクトリアリズム 珠玉の名品展」とあるから、いわずとしれた、日本の写真史に残る「あの時代」の作品展である。 同館の友の会員向けの内覧会があったので、出かけていった。年寄りばかりかと思ったらそうでもない。しかし、そこで出た質問が「これ写真ですか?」というのだから面白い。確かにとても写真とはいえない、絵画そのものみたいな作品がずらり。レンズと乾板が撮る写真というものが、本道をそれてしまった、いわば鬼っ子みたいな時代である。(同展のポスター。写真は、高山正隆「楽器を持つ女」1924年) ◆写真で雑巾がけ? 本来のピクトリアリズムーーイギリスからアメリカに広がって前世紀初頭の一時期を謳歌した、あの中でも「ここまではやらなかった」というほどの作品づくりがある。写真家たちをとらえたのは、プリントであった
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