『とにかくさけんでにげるんだ わるい人から身をまもる本』(ベティー ボガホールド:作、河原まり子:絵、安藤由紀:訳/岩崎書店) 幼い頃、「知らない人にはついていっちゃダメだよ」と親や先生から教えられた。「こわい人たちは『飴をあげるから』と誘ってきます」と言われ、まじめな私は「飴だけには気を付けよう」と固く決意していたのだが、道を聞かれたときに、すっかり気を許して案内してしまったことがある。 幸いにして、その人はわるい人ではなかったからいいものの、誘拐犯だったら私は今頃どうなっていたのだろう。そう思うと同時に、私が大人だったら、どのようにして子どもに言って聞かせればいいのだろうということも考える年齢になった。親であれば、自分の子どもが危険に晒されるのは避けたいに決まっている。避けたいに決まっているのだけれど、どう伝えるのがベストなのかわからないという大人は、私を含めて多いのではないだろうか。