「音楽は立体である。しかし、視覚はそれを見えないようにする霧だ」 愛知県で2010年から3年に一度開催されている国内最大規模の国際芸術祭『あいちトリエンナーレ』が8月1日に開幕した。「膨大な情報から生まれる不安という感情が分断や格差を作り出している現代において、それを打ち破ることができるのもまた情(=なさけ)なのではないか?」という問いから、「情の時代」をコンセプトに掲げ、国際現代美術展のほか、映像プログラム、パフォーミングアーツなど、様々な芸術作品が紹介されている。 そんな『あいちトリエンナーレ2019』の音楽プログラムとして、愛知県芸術劇場大ホールで4日間にわたって開催されたのが、サカナクションの『暗闇-KURAYAMI-』である。その名の通り、完全暗転させた会場の中でライブパフォーマンスを行うというもので、視覚が閉ざされ、聴覚が研ぎ澄まされた中での音楽体験を味わうことのできる、実験的