僕が生まれて初めて飛行機に乗って訪れた外国はフィリピンでした。 大体、生まれて初めて行った国はファンになる場合が多いのではないかと思います。 僕の場合もそういう単純な理由からフィリピン贔屓です。 フィリピンは1960年代までは東南アジアで最も豊かな国のひとつでした。マニラは今ならさしずめシンガポールのような華やかな都会だったのです。 しかしマルコス大統領の独裁はだんだんこの国を蝕み、1983年のある事件をきっかけにフィリピンは東南アジアの発展からひとり取り残されてしまいます。 その事件とはマルコス大統領の政敵だったベニグノ・アキノ・ジュニア上院議員が海外の病気療養から帰国したとき、マニラ国際空港でタラップを降りた直後に暗殺されるというショッキングな事件です。 この事件は世界に報道され、フィリピンはとんでもない治安の悪い国だというイメージを植え付けてしまいました。 さらに駐在員の誘拐事件など