処女作。路上生活者の家を調査した大学の卒論が元になっている。大学卒業後、勝手に「独立」したのだが、何をするのか全く分からない時間ばかり過ぎていた。卒論を本にすることを思いつくが、ツテもコネもない。そもそも本をあんまり読んでこなかった僕は出版に関して何も知らなかった。そこで本好きの高校の同級生に、卒論を見せてどこに持ち込んだらよいかを尋ねてみると「リトルモアしか出さないよ、きっと」と助言された。持ち込んでみると不思議なことに10分ほどで出版されることが決定。無名の人間の写真集を作るなんてリスクしかないのによく出版してくれたものだ。初回の印税は0円。重版分からは印税を払うという契約をした。その代わり、英訳をつけさせてほしいという条件を出すと、5万円くれた。僕は5万円を持って弟が通っていた青山学院大学へ行き、英文科で学ぶ女子大生に5万円で翻訳してもらうことをお願いする。出版後、僕は英訳の付いたこ