例年,形だけでも「~年の三冊」を書いて新年を迎えているのですが,今年は例年以上に本を読んでいないので(毎年そんなことを言っているような気もしますが),砂原先生を真似て,政治思想史・政治理論分野での収穫を振り返るという仕方にしたいと思います. もっとも,研究動向の中に位置付けたコメントをするような力量はないので,今年刊行された主な政治学文献のリストを眺めながら,目についたトピックだけさらって書きたいと思います.時系列でもありません. 齋藤純一/田村哲樹 (編) 『アクセス デモクラシー論』日本評論社(新アクセス・シリーズ). 篠原一 (編) 『討議デモクラシーの挑戦――ミニ・パブリックスが拓く新しい政治』岩波書店. 自分の専門に近いところから行くと,デモクラシー論についての重要な共著テキスト/論文集が年頭に出ています.前者は思想史から理論,地方政治から国際政治まで幅広い領域での学術的議論を見