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2013年2月5日のブックマーク (1件)

  • 『明治演劇史』 渡辺保著 : 書評 : 本よみうり堂 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

    著者の『江戸演劇史』二巻の読者ならば書刊行を待ちかねただろう。期待を裏切らぬばかりか、前著未読の、演劇に知識のない読者も面白く読める。面白さの理由は大きく三点。 著者は能、文楽、歌舞伎を分けて論じるよりもまずは維新後、共通に直面した問題を取り出す。激動の時代だ。従来のままでは生き残りは難しい。だから危機を救った起業家的資質の人物に光を当てた。時代を見通す目、新しさに向かう度胸、金を集め人を纏(まと)める力を持つ人物たちだ。例えば明治初頭では能の梅若実、文楽の植村大蔵、歌舞伎では十二代目守田勘弥。明治中期ではオッペケペ節で人気を博した川上音二郎であり、新派を興した伊井蓉峰(ようほう)、喜多村緑郎たち。彼らの行動を活写した点が第一。 二点目は芸自体の変貌を論じた。名人と呼ばれた演者たちが、人間の内面を写すリアルさを芸に求めた。なぜなら変化に乏しい江戸時代とは異なり、明治人は自身で考え、悩み、

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    irureme 2013/02/05