戦時下最大の言論弾圧とされる「横浜事件」の再審請求で、有罪か無罪かを判断せずに裁判を打ち切る「免訴」判決を受けた元被告について、横浜地裁は4日、刑事補償を認める決定をした。大島隆明裁判長は実質的な「無罪」と判断した。 1986年に初めて再審請求して以来、初めて司法によって元被告の名誉回復が図られる。 補償が認められたのは故人。元被告は治安維持法違反で45年に有罪判決を受けた。遺族が再審で免訴判決を受けた後に、刑事補償を国に求めていた。 横浜事件は、42〜45年に中央公論や改造社、朝日新聞などの言論・出版関係者の約60人が「共産主義を宣伝した」などとして神奈川県警特別高等課(特高)に逮捕された事件の総称。約30人が有罪判決を受け、4人が獄死した。その後、取り調べに拷問があったとして、元特高警察官3人が特別公務員暴行傷害罪で有罪となった。