現代の秘術でチチンプイ [10/03/23] アメリカ総局・勝田敏彦 鉛のような卑金属から金のような貴金属を作ったり、不老長寿の薬を合成したりしようとした錬金術。中世のイスラム世界やヨーロッパなどで盛んだった「秘術」が、21世紀の今、全く新しい形でよみがえろうとしている。現代の錬金術師は、どんな技を生み出したのか。 ◇タングステンと炭素で安価に「白金」 怪しげなイメージがある錬金術だが、中世の錬金術師らが作り出した実験器具のアイデアは現代にも通じる。硫酸など重要な化学製品も発見したといわれ、化学的に意味がなかったわけではない。 だが、鉛を金に換えるといった元素の変換はできなかった。あらゆる試みは失敗に終わり、元素は不変なものと考えられた。 その常識が覆ったのは20世紀初め。英国のラザフォードが、放射線を出して元素が崩壊し、別の元素に変わる現象を発見した。 今では、加速器で原子核同士を高速