神奈川県伊勢原市で昨年5月、ドメスティックバイオレンス(DV)の果てに離婚した元夫(33)に路上で刺され、瀕死(ひんし)の重傷を負った30代女性が毎日新聞の取材に応じた。事件前、元夫からの襲撃の不安を訴える女性のSOSを、警察を含めた周囲は真剣に取り合わなかった。心身の傷が今も癒えない女性は「被害者の思いを、そのまま受け止めてほしい」と繰り返した。【河津啓介、藤沢美由紀】 【なくせ、ストーカー被害 関連記事まとめページ】 女性が、大学で知り合った元夫と結婚したのは2004年のことだ。待っていたのはささいな理由での暴力と罵声で虐げられる日々だった。相手の機嫌を損ねないよう神経を擦り減らした。 「膨らんだ風船がいつ破裂するかというようにおびえ続けた。緊張が解けるのは殴られる瞬間だけ」と振り返り、毎日の生活を「『痛み』と『痛み』の間にずっと続く『恐怖』がある。それが全てだった」と表現した。