21世紀を拓く稲作文明 ――梅原猛氏の講演に思う ◆隠された稲作文明に光を――梅原猛氏の慧眼 不確実な未来を語るうえでもっとも大切なことは、人間は自然にそっぽを向かれては生きられないという単純な事実だ。自然にそっぽを向かれない生き方とは、言い換えれば自然とのつき合い方の原理(これを文明のあり方といってもいいだろう)を征服的・略奪的なものでなく、共生的・循環的なものにしていくことにほかならない。 去る3月5日、東京で「都市と農村のかかわりを環境から考える」ことをメインテーマにした「21世紀の日本を考えるシンポジウム」が開かれ、哲学者であり作家でもある国際日本文化研究センター顧問の梅原猛氏が基調講演をおこなった。氏は演題を「これからの人類の道・共生と循環の世界観――隠された稲作文明に光を――」と設定し、大要を次のように述べられた。 ――文明の代名詞のように言われてきた西洋の文明は、人間中心、個