東京電力福島第一原発事故後の二〇一一年四月、国の研究機関・放射線医学総合研究所(放医研)の明石真言(まこと)理事が福山哲郎官房副長官(当時)に、住民の疫学調査は不要と進言していたことが分かった。原発事故の疫学調査では一般的に、多発が心配される甲状腺がんの患者数や分布を調べ、放射線の影響を分析する。しかし、国は本格的な調査に乗り出さず、福島県が「県民健康調査」を始めた。 (榊原崇仁) 甲状腺がんの原因となる甲状腺内部被ばくの測定も、国は千八十人で終えていた。明石氏はこの測定を問題視しなかった上、甲状腺がんの状況も調べなくてよいと提案したことになる。 本紙は、同年四月二十六日に明石氏らが福山氏と首相官邸で面会し、住民の被ばくについて説明した会合の議事概要を情報開示請求で得た。文部科学省が作成し、放医研が保有していた。 それによると、経済産業省の幹部が「論点として疫学調査の必要性の有無があろうが
未だに陽が当たらない「上流」 原子力の世界では、ウランを採掘し、濃縮、加工して原子炉に装荷するまでの段階を「アップストリーム(上流)」と呼び、原子炉でウランを燃やしたあとの、再処理、廃物処理・処分を「ダウンストリーム(下流)」と呼んでいる。 原子炉を運転すれば、核分裂生成物や放射化生成物が生み出される。純粋に物理学的に言えば、生み出した放射能を消滅させることもできる。しかし、実際にそれを行おうとすると、厖大なエネルギーが必要となるし、別の放射能が新たに生み出されてしまう。結局、自ら生み出した放射能を消すことができないまま、人類はここまで来た。やむなく、生み出した放射能を地中深く埋める案などが出されてきたが、安全の保証を与えられないまま今日に至っている。原子力発電所が「トイレのないマンション」といわれるゆえんであり、ようやくにして「下流」問題の深刻さが認識されるようになってきた。 しかし、放
国の放射線審議会は25日、原発事故などの直後に今後策定される食品や除染の放射線基準について、状況の変化に応じて見直しを含め妥当性を検証すべきだとする考え方を決定した。東京電力福島第1原発事故後に導入された安全寄りの基準が見直されず、現在も住民帰還の妨げになっていることなどを受け検討していた。ただ、審議会は「現行基準を否定しない」と各省庁に見直しは求めない。 事務局の原子力規制庁によると、今回示された考え方は福島原発事故の教訓として、審議会が平成29年にまとめた「放射線防護の基本的考え方の整理」の補足として位置付けられる。 福島原発事故直後の放射線基準は、個人が実際に被曝(ひばく)する追加被曝線量が年間1ミリシーベルト以下となることを目指し、一般食品で放射性セシウムが1キロ当たり100ベクレル、除染の目安となる空間放射線量が毎時0・23マイクロシーベルトなどと設定。実測データが得られない混乱
【ふるさとを返せ 津島原発訴訟】法廷に響いた〝加害者〟東電の本音。「ダム建設で沈んだ村よりマシ」「居住制限あるが立ち入り出来る」~原告本人尋問始まる。元GE佐藤暁氏も出廷 2019/01/19 08:08 原発事故で帰還困難区域に指定された福島県浪江町津島地区の住民たちが国や東電に原状回復と完全賠償を求める「ふるさとを返せ 津島原発訴訟」の第16回口頭弁論が18日、福島地裁郡山支部303号法廷(佐々木健二裁判長)で終日、行われた。原告に対する本人尋問が開始。この日は原告団長・今野秀則さんが法廷に立った。被告東電の代理人弁護士が「ダムの底に沈んで立ち入りすら出来ない村と比べれば津島はマシだ」とでも言いたげな尋問をし、法廷が騒然となる場面も。「ふるさと喪失」に対する東電側の本音が出た格好だ。午後は元GE技術者の佐藤暁氏が専門家として法廷に立ち、「必要な対策を講じていれば過酷事故は防げた」と語っ
昨年12月27日の毎日新聞が、福島第1原発事故後に測定された福島県伊達市の住民の個人被ばく線量のデータを基に、早野龍五・東京大名誉教授らが英科学誌に発表した2本の論文について、本人の同意のないデータが使われた疑いがあるとして東大が予備調査を開始したというニュースを報じました。(参照:毎日新聞) 同記事では、調査のきっかけとなった住民からの申し立てで、“図の一部に不自然な点があり、「線量を過小評価するための捏造(ねつぞう)が疑われる」”と指摘されたと報じ、それに対して早野氏が、同紙の取材に対し“「適切なデータを伊達市から受け取ったという認識で対応していた」とメールで回答。「計算ミスがあり、線量を3分の1に過小評価していた」として出版社に修正を要請した”と応じたとしています。 論文自体がどういうものかをみておきます。これは I, II からなる2本で、だれでも無料でダウンロードし、読むことがで
東京電力・福島第一原子力発電所の事故で、収束作業にあたっていた50代の男性技術者が甲状腺がんを発症し、厚生労働省は業務との因果関係を認め労災と認定しました。 労災が認められたのは東京電力の協力会社で働く、50代の男性技術者です。 厚生労働省によりますと、男性は平成5年から各地の原発で電気設備の保全業務をしていましたが、福島第一原発の事故直後の平成23年3月、原発の構内で収束作業にあたりました。 その後、男性は去年6月に甲状腺がんと診断され、労災を申請していました。 甲状腺がんの労災認定にあたっては、100ミリシーベルト以上の被ばく線量が目安のひとつとされていますが、男性は事故直後の作業だけでおよそ100ミリシーベルトに達していたということです。 このため厚生労働省は業務との因果関係を認め、今月10日に労災と認定しました。 福島第一原発では事故以降、これまでに5人の作業員が白血病やがんを発症
本日、原子力災害対策本部は、原子力災害対策特別措置法に基づき出荷制限が指示されていた、以下について、出荷制限の解除を指示しました。 (1)茨城県大洗町(おおあらいまち)で産出されたタケノコ (2)宮城県丸森町(まるもりまち)(旧筆(ひっ)甫(ぽ)村(むら)及び旧大内村(おおうちむら)に限る。)で産出されたタケノコ 1 茨城県に対し指示されていた出荷制限のうち、茨城県大洗町(おおあらいまち)で産出されたタケノコについて、本日、出荷制限が解除されました。 (1)本日付けの原子力災害対策本部から茨城県への指示は別添1のとおりです。 (2)茨城県の申請は、別添2のとおりです。 2 宮城県に対し指示されていた出荷制限のうち、宮城県丸森町(まるもりまち)(旧筆(ひっ)甫(ぽ)村(むら)及び旧大内村(おおうちむら)に限る。)で産出されたタケノコについて、本日、出荷制限が解除されました。 (1)本日付けの
福島第一原発の敷地内のタンクにたまる汚染水について、東京電力は28日、一部のタンクから放出基準値の最大約2万倍にあたる放射性物質が検出されていたことを明らかにした。今回分析した浄化されたはずの汚染水約89万トンのうち、8割超にあたる約75万トンが基準を上回っていたという。 東電や経済産業省によると、多核種除去設備(ALPS)で処理した汚染水を分析したところ、一部のタンクの汚染水から、ストロンチウム90などが基準値の約2万倍にあたる1リットルあたり約60万ベクレルの濃度で検出された。東電はこれまで、ALPSで処理すれば、トリチウム以外の62種類の放射性物質を除去できると説明していた。 東電は今後、汚染水の海洋放出などの処分法を決めた場合は、再びALPSに通して処理する方針も示した。タンクに保管されている処理済みの汚染水は現在94万トン。現状の処理能力は1日最大1500トンにとどまっており、再
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