「不確実な状況で、意思決定するのが経営者の仕事だ」と言われるが、実際にそれを実践することは非常に難しい。確実に答えがわかっていれば、意思決定は必要でない。また、ロジカルに考えて、生み出された確実性の高い施策は、おおよそ先駆者がおり、競争が激しく、莫大な利益を生む可能性は低い。 いっぽう、現場の社員は、現状を打破しようと、不確実性は高いが、おもしろそうなアイデアを持っている。「ひょっとしたら」うまくいくかもしれないという可能性を盲目に信じがちで、リスクと再現性を求める経営陣からの口撃の矢面に立たされると萎縮し、論破されてしまう。そして、現場は経営陣の臆病さを、経営者は現場の思慮の足りなさを、それぞれのいないところで愚痴るのである。 仮に経営陣が歩み寄ったとしても、社内の稟議を通過したころには社内都合により当初の企画は角が落とされて丸くなるか、賞味期限切れのコンセプトになっていることが多い。顧