東京電力福島第一原発事故の影響で牧草が放射性物質に汚染され、2012年度から牛の放牧を全面的に中止している県内の公共牧場17か所のうち、一関・奥州地方の3牧場が今年、放牧を再開した。除染作業で牧草の放射性セシウム濃度が国の基準(1キロ当たり100ベクレル)を下回ったためで、昨年の2牧場と合わせ5牧場で放牧が一部可能になった。一方で、除染を断念した牧場もあり、事故の傷痕は深い。(一條裕二) 2012年産牧草の検査結果を受け、県は、原発事故前に牛を放牧していた公共牧場17か所に全面的な利用自粛を求めた。3000頭を超える牛が影響を受け、農家は預け先の変更や自前牛舎での飼育を強いられた。 県は12年度から、牧草地を重機で掘り起こして天地返しする除染作業に本格着手した。今年度中には、作業ができない場所を除く約1万3000ヘクタールの除染を終える計画だ。 除染の進展に伴い、昨年は「阿原山」「室根高原