世界有数の豊かな漁場が広がる米北部アラスカ沖のベーリング海で近年、100億匹以上のズワイガニが姿を消し、地元経済に大きな打撃を与えている。米科学誌サイエンスは19日、ベーリング海東部で急激に海水温が上昇した「海洋熱波」の影響で大量のズワイガニが「餓死」したとみられるとの論文を掲載した。 論文を発表した米海洋大気局(NOAA)などの研究チームは、気候変動は漁業にとって乱獲に次ぐ「存亡の危機」だとしている。 研究チームはこれまでの調査で、ベーリング海東部のズワイガニの個体数は2018年に記録的な高水準に達した後に急減し、21年にかけて100億匹以上が消えたと報告していた。異常事態を受けてアラスカ州当局は昨年初めてカニ漁を禁止。アラスカ産ズワイガニの水揚げ高は年平均1億5000万ドル(約225億円)で地域経済への貢献も大きく、地元メディアによると税収に影響が出ている。