1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)であった一家4人強盗殺人事件で、凶器を売った店とされた沼津市の「菊光(きくみつ)刃物店」が13日、犯人として死刑囚となった袴田巌さん(88)の再審無罪確定を受け、看板を外した。一審では3代目の高橋国明さん(74)=群馬県板倉町=の亡き母みどりさんの証言が有罪の証拠の一つとされた。みどりさんは後に証言を誤りと認め、晩年は気に病み続けた。高橋さんは13年前の廃業後も「事件は続いている」と看板を掲げ続け、この日、区切りを付けた。(山本真嗣)
東京都小平市で2001年、イラン国籍の3人が現金輸送車から1億円を奪ったとされる事件で、国際手配中に来日し、強盗傷害容疑で逮捕された同国籍の男(51)が、今月26日に不起訴(嫌疑不十分)となった。地検立川支部への取材で、共犯の元受刑者の刑事確定記録が廃棄されていたことが判明。事件に関係する検察側証拠が失われ、処分の判断に影響したとみられることが、関係者への取材で分かった。(鈴鹿雄大) 刑事確定記録 判決文(裁判書)を含む刑事裁判で使われた供述調書や実況見分調書、捜査報告書などの記録を指す。判決確定後、一審裁判所に対応する地検で保管される。保管期間は刑の重さなどに応じて異なる。有罪が確定した刑事裁判の場合、判決文以外の記録は、50年(死刑か無期懲役)~3年(罰金刑)などと定められている。検察官が必要と認める場合、期間が延長される。期間を満了した後も、調査研究の重要な参考資料にあたる場合、法務
家事代行の長時間労働の末に亡くなった女性=当時(68)=の過労死と労災を認めなかった労働基準監督署の処分は不当だとして、女性の夫(77)が国を相手に処分の取り消しを求めていた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(水野有子裁判長)は19日、過重業務による労災と認め、労災不支給処分を取り消した。一審東京地裁判決は請求を棄却しており、遺族の逆転勝訴となった。(池尾伸一)
2011年の東京電力福島第1原発事故で福島県いわき市から東京都内へ自主避難した鴨下美和さん(54)と長男全生(まつき)さん(21)が7月末、神奈川県大磯町で講演した。2人は13年間続く避難生活の中で、避難指示区域外からの自主避難者に対する理解のなさに苦しんできた体験を語り、「政府は事故の被害をもっと周知させた上で原発を論じるべきだ」と主張した。 鴨下さん親子は事故の翌朝、家族で自宅を離れた。美和さんと夫の祐也さん(55)は大学時代、研究室で放射性物質を扱った経験がある。「危険性や管理の厳しさを知っていた」といい、日ごろから原発を意識して生活していた。 美和さんによれば、都内で暮らすようになって「ニセ被害者扱いされた」という。自宅は原発から南に約40キロ離れ、避難指示区域外にあるためだ。数値を測れば汚染されているのが分かるのに「被害なんてないだろう」と決めつけられた。
猛暑の本格化と足並みを合わせるよう、新型コロナウイルスの第11波が到来しつつある。喉の痛みに止まらぬせきなど、特有の症状に直面する人々はいま、別の悩みも突きつけられる。コロナ治療薬の高さだ。頭がふらつく中でも価格におののき、処方をためらう人もいるという。「経済格差」「健康はカネ次第」。そんな言葉も浮かぶ現状を改めなくていいものか。(山田雄之、木原育子)
東京都の非正規公務員として働くスクールカウンセラー(SC)250人が、今年1月に「雇い止め」の通知を受けた。出産後まもなくSCの職を失った女性(36)は「都が大量リストラをしたことは怖い。次世代が不安になる出来事」と話す。7日の都知事選投開票を前に、SCの雇用安定や、生徒らが安心して相談できる環境を望む声を上げた。(畑間香織) 「卒業するまでいてほしかった」「いなくなったら困る」。都SCの公募試験で不合格だった女性は、3月でいなくなると生徒たちに伝えると、このような言葉をかけられた。雇い止め撤回を求めるオンライン署名に協力する保護者もいた。2015年度から働き、同時に3校を任されたこともあった。「自分が大事に築いた環境を終わりにしないといけないのは、苦しかった」と振り返る。
都水道局が、料金滞納者への催告の仕方を変えたのは2022年度。それまで東京23区では、訪問による催告と徴収を民間に委託していたが、多摩地域と同様に郵送での催告に変更した。 担当者によると、これにより年間の委託費7億円が削減できたという。その一方で、水道の停止件数は21年度の10万5000件から、22年度は18万件に増加。23年度は24年1月までで14万件となった。担当者は「大半の方は停止するとすぐに支払ってくれる。費用対効果は大きい」と強調する。
オンラインで約2時間にわたり行われた総長対話で、男子学生が藤井学長にこう迫った。「検討中の案を今日は示している」「さらに検討を進めていく」と藤井氏。言質を与えず、歯切れの悪い回答に終始した。今後については「対話の機会がまた設けられないか検討したい」と述べる一方、「約束はできない」とも。「トップダウンは考えていない」と苦しげな胸中を吐露した。 現在の東大の授業料は、標準額とされる年53万5800円。藤井氏は、教育環境の向上と物価高騰への対応のため、文部科学省令で認められた上限の約10万円の引き上げを検討しているとした。「支出の抑制には努めてきた」と話し、前年度比で約25億円の削減を実現したと強調した。 また、授業料が2005年度から据え置かれたため、「数百億円の投資を控えざるを得なかった。断念した教育事業があった」とも。値上げによる増収額は約29億円。大学側は経済支援策拡充の方針も示し、世帯
保育園に入れるための就労証明が犯罪? 労組は反社? 逆転無罪が相次ぐ「関西生コン事件」が示す民主主義の危機 2018年以降、「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生支部)」の組合員81人が逮捕され、威力業務妨害や恐喝未遂などの罪で66人が起訴された。だが公判段階になり、一部無罪を含め11人の無罪が確定している。労働組合活動に対する恣意(しい)的な法執行や長期間の身体拘束に、関係者や専門家から改めて批判の声が上がっている。(山田祐一郎) 「無罪が確定しても家族が帰ってくるわけではない」。関生支部の武谷新吾副執行委員長(60)が「こちら特報部」の取材につぶやいた。書記次長だった2019年7月、和歌山県警に、他の組合員2人とともに強要未遂と威力業務妨害容疑で逮捕された。生コン事業者の協同組合の事務所で理事長に対し、どなりつけたり謝罪するよう要求したりしたとして起訴され、22年3月の和
東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)への3選出馬が確実視されている現職の小池百合子知事に28日、都内に62人いる区市村長のうち実に52人の有志が参加して立候補を要請した。この動きに加わらなかった首長たちは何を思っているのか。(社会部、立川支局、デジタル編集部)
日本維新の会の藤田文武幹事長は28日の記者会見で、東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)に関し、独自候補の擁立作業が難航していることを示唆した。藤田氏は「自分たちの共感する政策を訴えられる候補者を擁立したいという思いは直前まで持ちたいが、なかなか思いだけでは勝てない」と述べた。
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