「カラスの群れを追い払えず困っている。うちの牛を傷つけることもあるんです」。広島県北部で酪農を営む40代男性から、こんな悲鳴が編集局に届いた。「行政も助けてくれない。もうお手上げです」。取材してみると、カラスに襲われて牛が死ぬケースもあるという。 【動画】我が物顔に振る舞うカラス ▽広域で徹底防備が必要 現場を訪ねてみて、ぎょっとした。牛舎裏の林の上空をカラスの群れが舞う。50羽くらいか。「これは少ない方。数百羽で空一面が真っ黒になる日もある」と男性が教えてくれた。 数年前から昼時になると、方々から群れが集まるようになった。人のいない隙を狙い牛舎に侵入する。窓に釣り糸やネットを張って妨害してもどこからか忍び込み、牛の餌や水をついばむのだという。 カラスは肉も好む。牛のお産があると血の匂いを嗅ぎつけ、胎盤などを狙いに来る。生後間もない子牛が毛をむしられたり、親牛が背を突かれて出血したりしたこ