『いつか、勇者だった少年』(秋口ぎくる/朝日ノベルズ)を読んだ。 自分がここ数年読んだ作品の中で、トップクラスに不愉快な作品でした。つまらなかったとか、上手い下手の話をしているのではなく、とにかく”不愉快”であり”不快”であり”生理的嫌悪”を呼び覚まされました。これは皮肉でもなんでもなく、これほどまでに自分のリアルな感情を刺激したという意味では、数年に1冊出るかどうかの怪作と言える。いっそ、傑作といってしまってもいいかもしれないですねー。繰り返すけれども、これは皮肉ではありません。ここまで、”幻想を愛し、現実を憎み、妄想の中の全能感に酔いしれ、ナルシズムに耽溺することのおぞましさ”を描きぬいている作品は、僕はここ数年レベルで読んだことがなく、ある意味において傑作といわざるを得ない。 この作品にはあらゆるフィクションやファンタジーと、それを愛好する人々に対する悪意に満ちています。あくまでも私