フレームを超えた新たなマンガ体験。塚田優評 尾焼津早織「ハイパーフレーミング・コミック」展 1995年生まれの尾焼津早織は、自らの造語である「ハイパーフレーミング・コミック」という手法を用いた新たな表現を模索している。ページというフレームがない自由なコマ構成による静止画のマンガと、カメラワークを組み合わせた映像作品は、マンガのシステムを問い直し、「読む」という体験の新たな可能性を引き出そうとする。3作品を展示した個展を、視覚文化評論家の塚田優が論じる。 塚田優=文 ページからの解放 尾焼津早織はコマ割りや吹きだしといった、マンガ的な技法を駆使して映像を制作する。近年盛り上がりを見せるウェブマンガにも関心を持つ彼女の仕事は、マンガのシステムを映像という媒体にそのまま代入することによって、カテゴリーをそのものを無効にしてしまう。映像を見ているにもかかわらず、なぜか私たちは、あたかもマンガを読ん