「脱小沢」と国家ICT戦略とは、一見何の因果関係もなさそうに見えるが、意外にも政治の底流部分で深い関係を持っている。それは、民主党内でのICT議論の中心が「親小沢派」にあり、菅政権が「脱小沢」で支持率向上、政権浮揚を狙う限り、ICT戦略とそれを実現するための予算において大きな逆風となるからだ(図1)。そのあたりの事情を順を追って説明したい。 2009年の政権交代まで、民主党にはICT戦略というものがなかった。ITバブルが話題になったのはもう10年も前の話で、当時から原口前総務相はITに関心があり、これまでも電子行政に関して積極的に提言してきた。 ITバブル崩壊以来、ITは票にならなくなり、野党としての民主党は急激にITから遠ざかっていった。2005年から2006年にかけて民主党の松井、古賀、梁瀬議員が、特許庁、日本郵政公社、社会保険庁(当時)の情報システムに関して、主にNTTデータのデータ