フェミニストというのはプロチョイスだと思いこんでいる人が多い。だけど,実のところ欧米には,1970年代の初めからプロライフ・フェミニストと名乗る女性たちが存在している。中絶問題に関して,彼女たちは女性差別の問題として見るべきだという点ではプロチョイスと意見が一致するけれど,どのような意味で差別なのか,だからどうすべきかといった点では,プロチョイス・フェミニストとはかなり見解を異にしている。 以下,Gail Grenier Sweetによる文章(Gail Grenier Sweet編Pro-life Feminism: Different VoicesのIntroduction,1985)から翻訳・引用する。【仮訳 塚原久美】 中絶合法化は,重要な社会的病理の蔓延を覆い隠す傷絆創膏(バンドエイド)にすぎず,女性を「二流市民」の地位に押しとどめるものである。テクノロジーの成熟によって,中絶はか