著者もいうように、テレビはおいしいビジネスである。その理由は、アメリカのようにケーブルテレビが発達することを阻止し、地上波しか見られないシステムを守ってきたからだ。本書では、難視聴地域まで中継局を建てたという理由があげられているが、それだけではない。ケーブルテレビの免許を市町村ごとに限定させて広域局の出現を防ぎ、BSには子会社で免許を申請して電波をふさぎ、徹底して新規参入を妨害してきたのである。 その結果、日本の地上波テレビの番組は、世界にも例をみない「進化」を遂げた。1日3時間半も見られるため、なるべく長時間だらだらと見られる作りになっているのだ。民放関係者によると、この傾向は一昨年ライブドアがニッポン放送株を買収したころから、特にひどくなったという。それまではドラマや報道などに一定のバランスをとって編成していたのが、「時価総額」を高めるために、視聴率が高く制作費の低いバラエティの比重