デヴィッド・ロッジの『交換教授』という作品の中に、「屈辱」という名のゲームが登場します。 ルールは簡単。 ゲームの参加者は、「とても有名で大勢のひとが読んでいるけれど、実は自分はまだ読んでいない作品」の名前を、順番にあげていきます。 他の参加者が一人その小説を読んでいればポイント1。二人ならばポイント2。本を読んだことのある人間の人数分、ポイントが加算されていきます。 「オルコット。『若草物語』」 「え、お前あれ読んでないの? おれは読んだよ。1ポイントだな」 「あたしも読んだ……これで2ポイントか」 とか 「『暗夜行路』は?」 「おれは読んでない」 「読んでないなー」 「あら、誰も読んでないね。チョイスがちょっと渋かったかな。ポイントゼロ。」 とか、そんなふうな会話を交わしながらゲームは進んでいくわけです。 そしてゲームが終わったとき、勝者は 「誰もが読んでいるような本をその場で最も読ん