亀田興の功績をたたえる声は、ほとんど聞かれない。 古今東西を見渡しても、3階級制覇を果たしてそんな扱いを受けたボクサーはいないだろう。 最初の世界王座獲得となった2006年8月のランダエタ(ベネズエラ)戦は、「疑惑の判定」と激しく批判された。翌07年には3兄弟の次男大毅が内藤大助戦で反則を繰り返し、社会問題化。父史郎氏の高圧的な振る舞いに世間は嫌悪感を示し、一家は完全に孤立した。それまで父子物語を美談仕立てに報じていたメディアも手のひらを返す中、矢面に立った亀田興は記者会見で肩を震わせながら頭を下げた。 2年後、フライ級で内藤に完勝し2階級制覇。これは競技人生の中でも数少ない光る試合だったが、周囲の見る目はさして変わらなかった。3階級制覇しても同じ。過去の名王者に勝った王座決定戦の質が問われた。 大毅が敗れても王座を保持し続けた13年12月の世界戦をめぐり、日本ボクシングコミッショ