新聞の普遍的価値観とは何だろうか。報道の使命を記者たちはどう感じているのだろうか。時々、そんなことを考えさせられることがある。 17日付読売夕刊の記事もその一つだった。生活保護受給者の自立支援を担当する神奈川県小田原市の職員が、〈保護なめんな〉〈不正を罰する〉など、受給者を威圧するような文言を英語とローマ字でプリントしたジャンパーを着て各世帯を訪問していた、と報じたのだ。〈生活困窮者を支えようという感覚が欠如している〉〈前代未聞だ〉という専門家の批判も掲載された。小田原市は厳しく責め立てられ、他紙もこれに追随したのである。 だが、この記事に違和感を覚えた読者は少なくなかった。私もその一人だ。本当に職員たちに「生活困窮者を支えようという感覚が欠如」していたのだろうか。いや、むしろ逆ではないか。私は、そう感じたのだ。 生活保護受給者が激増しているのは、周知の通りだ。不正受給に対する厳しい批判が