前回「公共図書館と知的自由の結びつき」に否定的なことを書いた(参考)。誤解を招いたかもしれないが、僕が反対しているのは「図書館の自由」の議論全体ではない。日図協による『図書館の自由の宣言』からは、図書館サービスへの外部からの介入を避けるという本筋の議論と、図書館はあらゆる情報要求を即時充足させなければならないという前文から導き出された議論の二つがある(参考)。前者は一定の条件で認められるものだが、後者には根拠がなく政策論として怪しいというのが僕の考えである。 憲法は政府の行動を制限するものであるという通常の法理解に従えば、政府が言論統制をせず、国民はコストさえかければあらゆる出版物にアクセスできる状態にあるというだけで「知る自由」は達成されていると言えるだろう。もちろん、生存権のように政府支出によって可能となる権利もある。しかし、情報アクセスがそうした権利の一つに入るかどうかは微妙なところ