山口県防府市の豪雨災害で、土石流で死傷者の出た同市真尾(まなお)の老人ホームのある一帯が昨年3月、土砂災害警戒区域に指定されながら、市は土砂災害防止法で義務づけられた住民への周知を十分にしていなかったことが分かった。県によると、同法の規定で住民らに避難経路などを周知する義務がありながら、県が作製した災害危険個所のマップを、市が公民館などに張り出しただけで、住民に説明をしていなかった。 県によると、真尾地区は昨年3月、防府市内の別の586カ所とともに警戒区域に一括指定された。 市は自治会長を対象にした県主催の指定前の説明会に同席しただけで、指定後に住民への説明をしていなかった上、警戒区域を示したハザードマップ(避難地図)の作製にも着手していない。市は「作業にかかる人的労力や財政的な負担のため」と説明し、松浦正人市長も22日の記者会見で「限られた行政能力ですべてを点検することは大変」と述べ