ビヨンセが広げるポップ・ミュージックの可能性 白人カントリー・バンドの元祖と言われることも多いカーター・ファミリーが1927年に初めての録音楽曲「Bury Me Under The Weeping Willow Tree」を発表してから、今日まで約100年の間、黒人が生み出した文化は盗用され、彼らの功績や存在は軽視されてきた。そして、ビヨンセも例外ではない。ジョージ・ブッシュを批判したことをきっかけに、カントリー・ミュージックの世界から排除されていた女性カントリー・バンド=ザ・チックス(旧ディキシー・チックス)を引き連れて、2016年にビヨンセは「Daddy Lessons」をカントリー音楽の祭典=CMAアワードで披露したが、黒人という理由で彼女は批判を浴びることとなる。 その出来事をきっかけにビヨンセはカントリーの音楽史を再訪問し、5年という年月をかけて完成させたのが、奴隷制時代に差別的