SaaSのようなオンデマンド型サービスが普及する上での障害の1つが,日本企業の所有へのこだわりである。しかし,昨今ではアウトソーシングやシェアードサービスも拡大しており,従来の所有意識には若干の変化が見られる。しかし,そのスピードは緩やかだ。モノを所有したいという欲求の希薄な若い世代の感覚には期待できるが,厳しいグローバル競争を戦う日本企業にとって時間的な余裕はそれほど残されていない。 ネットワークを介してソフトウエアをサービスとして利用するSaaSは,いま日本企業に浸透しつつある。ただ,欧米に比べるとそのスピードは遅い。そこには,日本企業の文化にかかわる課題も横たわっていると前回指摘した。(1)所有へのこだわり,(2)カスタムメイド志向,(3)進まない業務プロセス分解の3つの課題である。その中から,今回は“所有へのこだわり”を軸に日本企業の情報システムのあり方を考えてみたい。 ハードウエ