悪名高い対テロ軍組織のメンバーの個人的な来歴に光を当てた小説《Albatros》を読んだ後、私はもっと中立的なポジションから、ペルーの「汚い戦争」について読んでみたいと思った。 タイミング良く、今年2013年にアンカシュ県出身のベテラン作家オスカル・コルチャード・ルシオ(Óscar Colchado Lucio)がまさにそうした小説『リマの包囲』(《El cerco de Lima》:Grupo Editorial Mesa Redonda, 2013)を出版していたので、読んでみた。 ■テロリストと警察たちの麻痺した「日常」 この小説は、80年代後半のリマを舞台にした、次の3つの系列の断章群で編み上げられている。(1)首都を制圧しようとする極左テロ組織センデロ・ルミノソの下で活動する若者アルシデスの物語、(2)彼らの作戦を阻止しようとする警察テロ対策局(DIRCOTE)の職員ニトの一人称