安来市、奥出雲町、雲南市は、いにしえから続く「たたら製鉄」という独自の地域文化を語り継ごうと「鉄の道文化圏」を形成している。日本遺産認定もその取り組みの1つの成果だが、1987年にスタートした文化圏プロジェクトの核は、鉄の文化を伝え未来へとつなぐための鉄の文化館の設置。ひと口に「たたら」といってもなかなか伝わりにくいが、平成の大合併以前の旧6市町村に点在する各館をめぐるのが、地域の物語への理解を深める近道となる。 和鋼博物館/安来市 たたら製鉄の世界への入口は、安来市の和鋼博物館。たたらの歴史から生産技術、流通にいたるまでを資料展示や映像、体験を通して多角的に伝える、日本で唯一のたたら製鉄の総合博物館だ。 博物館目前は、鉄の積出港だった安来港。もともとは同市で操業している日立金属が企業ミュージアムとして開設したもので、国の重要有形民俗文化財に指定されている「たたらによる和鋼生産用具」や、足