社長がオーナー経営者の場合には, 99%の人間が賛成の情報システム導入であっても,社長1人が反対すればすべてはおしまいである。オーナー経営者には,「現場のことは自分が一番よく知っている」という強烈な自負がある。その考えは,簡単には変えられない。ましてや第三者から軽々に出されたものには断固として反発するオーナーは少なくない。今回は,ちょっとしたボタンの掛け違いが原因で,取り返しのつかない結果になった事例を紹介する。 本記事は日経コンピュータの連載をほぼそのまま再掲したものです。初出から数年が経過しており現在とは状況が異なる部分もありますが,この記事で焦点を当てたITマネジメントの本質は今でも変わりません。 創業25年の化学品製造会社S社の業績はここ3,4年きわめて好調だ。中でも医療用や電子部品用の素材として開発した新製品がヒットを続けている。 Y社長は大手メーカーに数年間勤務した後に,20代
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