下町と生きたB級グルメ@北京 丸い鉄板の上に、たらりと生地が落ちる。地面をならすようにトンボが回る。薄く広がった生地がきつね色に変わり始める――。おなじみのクレープが作られる過程に見入ってしまう人は多いだろう。かくいう私もその一人。中華風クレープの煎餅(チエンピン)は、主に朝ごはんとして北京の街角で気軽に食べられる一品だ。だが下町で評判の煎餅店を訪ねると、店主はこう告げた。「あと1、2年で店を閉める」。何が起きているのか。 日本ではおやつとして普及した「クレープ」はフランス語だ。そば粉の生地にチーズや卵、魚介類を乗せて食べるガレットがその起源とされる。現在のようなクレープが日本に広まったのは1970年代のことだった。 71年1月24日の朝日新聞朝刊(東京版)「日曜料理学校」という料理コーナーに、クレープの作り方を紹介する記事を見つけた。見出しは「クレープを焼く うす焼き卵の要領で 子供には