アブダビ国際空港から車で10分ほど走ると、砂漠地帯に突如としてクレーン群が見えてくる。建設途中のビルのほか、大規模太陽光発電所(メガソーラー)や太陽熱発電の実証プラントもある。この地は、アブダビが国家の威信をかけて建設を進める世界最先端の環境都市「マスダールシティー」だ。 アラブ首長国連邦(UAE)最大の国であるアブダビは、世界第5位の原油埋蔵量を誇り、1人当たりGDPは6万ドル(約550万円)を超える。そのアブダビが潤沢なオイルマネーを注ぎ込んでいるのが、クリーンテック(環境・エネルギー)分野である。世界中が20世紀型の大量生産・大量消費の社会構造から、21世紀型の低炭素社会への移行を模索し始めた今、クリーンテックは最も有望な成長市場と言われる。 アブダビは、クリーンテックの技術も情報も、そして企業までも世界中からかき集め、クリーンテックで世界の“ハブ”になろうとしている。それは、「石油