■めちゃくちゃだった円谷プロの実態 いやはや、ここまでひどかったとは! 円谷英明『ウルトラマンが泣いている』は、円谷英二の孫で、円谷プロ元社長(6代目)による円谷プロの内幕暴露本である。 いま40代、50代で、ウルトラ・シリーズを見たことがない人は、ほとんどいないのではないだろうか。誰もが心のどこかに「ウルトラ」を刷り込まれている。もしかすると、現代日本人にとっては、わらべ歌よりも、昔話よりも、広く共有されたカルチャーといっていいかもしれない。 この本が売れているのは、ウルトラマンへのノスタルジーだろうが、残念ながらそういう本ではない。なにしろ円谷プロの内情はめちゃくちゃだった。経営危機やお家騒動についての情報はたびたび流れていたけれども、これが実態だったのか。 驚いたことに、そもそも円谷英二の時代から特撮だけでは利益が出ていなかった。「特撮の神様」といわれ、世界的評価も高いとされているの