ここで紹介する実例は、 第36回日本分子生物学会で開催された 理事会企画フォーラム「研究公正性の確保のために今何をすべきか?」 http://www.aeplan.co.jp/mbsj2013/mbsj_forum.html の、第1セッションと第5セッションで話題提供させて頂いたもので、その時の原稿をUPします。 私はサイエンスライターとして研究不正の調査をしており、このケースもその過程で知りました。最初にお断りしておきますが、私はフリーのライターとして独立して活動しており、大学や企業には所属しておらず、分子生物学会の会員でもありません。こうした利害関係のない立場からこの企画に協力しました。 ある論文不正事件の関係者を匿名でAさんとしてお話します。 Aさんからは、「私は不正の当事者でもありますので、特定の個人や機関に対する批判や断罪などできる立場ではありませんが、自分の経験が皆様のお役に
この姫君ののたまふこと、「人々の、花、蝶やとめづるこそ、はかなくあやしけれ。人は、まことあり、本地たづねたるこそ、心ばへをかしけれ」とて、よろづの虫の、恐ろしげなるを取り集めて、「これが、成らむさまを見む」とて、さまざまなる籠箱どもに入れさせたまふ。 中にも「烏毛虫の、心深きさましたるこそ心にくけれ」とて、明け暮れは、耳はさみをして、手のうらにそへふせて、まぼりたまふ。 この姫君のいうことは変わっており、「世間の人は花よ蝶よと綺麗なものばかりありがたがるけれど、そうじゃないと思うのよね。人間は、誠実に、物事の本質を追求してこそ志があるってものじゃない。」といって、たくさんの虫の、しかも気持ちの悪いなものを集めては「成長するのを観察するのよ」と、籠に入れて飼っていたのです。 特に、「毛虫が、何かを考えていそうなところってすごく惹かれない?」といって、一日中、髪も動きやすいようまとめてしまって
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