虫愛ずる姫君

この姫君ののたまふこと、「人々の、花、蝶やとめづるこそ、はかなくあやしけれ。人は、まことあり、本地たづねたるこそ、心ばへをかしけれ」とて、よろづの虫の、恐ろしげなるを取り集めて、「これが、成らむさまを見む」とて、さまざまなる籠箱どもに入れさせたまふ。 中にも「烏毛虫の、心深きさましたるこそ心にくけれ」とて、明け暮れは、耳はさみをして、手のうらにそへふせて、まぼりたまふ。 この姫君のいうことは変わっており、「世間の人は花よ蝶よと綺麗なものばかりありがたがるけれど、そうじゃないと思うのよね。人間は、誠実に、物事の本質を追求してこそ志があるってものじゃない。」といって、たくさんの虫の、しかも気持ちの悪いなものを集めては「成長するのを観察するのよ」と、籠に入れて飼っていたのです。 特に、「毛虫が、何かを考えていそうなところってすごく惹かれない？」といって、一日中、髪も動きやすいようまとめてしまって

[Joetip]

「万物の事象を追求してその行く末を予測するからこそ、その理がわかるのよ。人の噂を気にして思考停止するなんて、低俗なこと。」タイムマシンでやってきた未来人だろこの姫君。

[konton57]

“姫様の眉毛も毛虫みたいだし”嗚呼、ナウシカ。いいなあ、この現代語訳。

[automaton37564]

“誰かとまりて、悪しきことをも見、善きをも見思ふべぎ”

[jkiuh]

あとでよむ。

[zeromoon0]

これが千年くらい前に書かれた話ですよ。

[tomo31415926563]

日本の古典文学の中で一番好きな人は、この虫愛づる姫君。

[masatoi]

ナウシカはこの話から着想を得たらしい。平安時代の理系女子の話。堤中納言物語は実家のどこかに埋もれていたような気がするので探してみようかな。

[kousyou]

"よろづのことどもをたづねて、末を見ればこそ、事はゆゑあれ。"

[lackoflove]

現代語訳が読めます

[it1127]

人々の、花、蝶やとめづるこそ、はかなくあやしけれ。人は、まことあり、本地たづねたるこそ、心ばへをかしけれ