麻薬や覚せい剤をはじめとする危険な薬物は、世間では存在自体が否定される傾向にあります。法的に使用はもちろん所持も禁止され、「ダメ。ゼッタイ。」といったポスターなども見かけます。 これらの啓蒙活動は決して間違ってはいないのですが、何がどうダメなのかの説明が足りません。学校などでチラシを配ったり、ポスターを貼ったりと、熱心な活動はなされていますが、その根拠がわかりづらいのです。 ポスターをどんなに貼っても、麻薬の本当の怖さをまったく知らない人には、身近な先輩から「そんなに悪いものじゃないよ」と一言勧められるだけで、簡単に手を出してしまうのが現実です。十分な情報を与えず、「ダメなものはダメ」と否定するだけでは、何も解決しません。 「学ばざる者は存すと雖も行屍走肉のみ」――後秦の王嘉が撰した志怪小説集『拾遺記』の一節ですが、学ばないという選択肢にはなんの価値もないのです。 そこで今回は、人の心を惑