最近、台風やハリケーンなどの強い熱帯低気圧による被害が増加する傾向にあると耳にしました。これは、温暖化の影響で強い熱帯低気圧が増えているためでしょうか。 長谷川聡 地球環境研究センター 温暖化リスク評価研究室 NIESポスドクフェロー (現 国立研究開発法人土木研究所 水災害・リスクマネジメント国際センター 水災害研究グループ 専門研究員) 1970年代以降の北大西洋の観測では強い熱帯低気圧がほぼ確実に増加していますが、人間活動の寄与は意見が分かれています。他の海域では観測が不十分なため、その長期的な変化傾向の信頼性は低いとされています。気候モデルを用いた温暖化研究では、将来は発生数が減るものの強い熱帯低気圧は増えると予測されています。しかし、強い熱帯低気圧による被害規模は、その上陸数、経路の変化、人口や資産の地理的分布の変化や対策の有無など社会的・経済的な環境の変化によっても大きく変動し