お兄ちゃんは、よく忘れる。 忘れ物もよくする。 お兄ちゃんが出かけた後、お兄ちゃんが持って出掛けるものが、家の中に置いてある事が多々ある。 何かする時だってそう。 「歯磨きしょうっと。」とお兄ちゃんが言って立ち上がって洗面所の方に行ったかと思ったら、直ぐに戻ってきて、僕に「ショウ。兄ちゃん何で洗面所に行ったんだ?」と聞いてくる。
何を隠そう美姫さんは引きこもりのプロだ。 今回の外出自粛、美姫さんにとってみれば日常。 今回美姫さんは色々な言葉を編み出した。 ①テレウォーク・・・RPGゲーム内で歩くこと。 ②オフライン旅行・・・窓から外の空を見てボーっとする事とお昼寝の事 ③Goo散歩・・・Googleマップで散歩する事。 この、テレウォークとGoo散歩は、美姫さんは全く運動をしていないのに運動をした気分になっているということが難点だ。「今日は、100km歩いた~。」とか「大陸横断しましたよ。」とか言っている。 あと、忘れてならないのが美姫さんに似た者がもう1人家にいるという事。 美姫さんとお兄ちゃんは、変なダンスを最近踊りだした。 その名も【ソーシャル蜜ダンス】 社交ダンスをソーシャルと言いながら離れ、蜜と言いながら向かい合ってホールドしている。 僕も誘われるが、とんでもない。断固拒否だ。 僕は、ウイルスと美姫さんに
「ショウ。明日から仕事。」と、美姫さん。 「えっ?今、外出自粛だよ。行かなきゃいけないの?」と僕が聞く。 「いや、外には目に見えないウィルスがいるのに出てこいって危ないでしょ。だから、危険手当くれって言ったらくれなさそうだったから、テレワークにした。」美姫さん。 よろず屋のテレワークって何するんだろう?? その日の夕方、家に何やら機材が届いた。 新しいパソコンとその他もろもろ。 それをセットするお兄ちゃん。 「あれ?美姫さんの仕事じゃないの?」と僕が聞くと 「美姫さん、機械音痴だからね。」とお兄ちゃん。 確かに…電池が切れたのを“壊れた”って怒るぐらいだからね。 次の日、いっこうに仕事をする気配がない美姫さん。 「美姫さん、仕事は?」と僕が聞くと 「そうだね。そろそろしますか。」と昨日届いたパソコンを開き、何か動画を見始めた。 「何見てるの?」と僕が覗くと 「大人の汚い世界。」と美姫さん。
少し前の出来事。 家でまったりとしながら、ネットをみていると【和牛商品券】の記事を見つけた。 「美姫さん、なんと【和牛商品券】が貰えるらしいよ~。」と僕が言うと 目を輝かせる美姫さん。 「ほら、去年行ったお店のタンシチュー美味しかったじゃん。あれも【和牛商品券】使える?」と美姫さん。 「和牛のタンなら、大丈夫なんじゃない?!」と僕が答える。 「じゃぁ、うちはタンシチューで決まりだね!」と美姫さん。 僕んちは【和牛商品券】でタンシチューをもらう事に決まった。 それからすぐに【お魚商品券】も出た。「美姫さん、【お魚】も貰えるらしいよ」と僕が美姫さんに言うと 「やった〜!!イカが食べたかったんだよねー」と美姫さん。 「イカは魚じゃないんじゃない?」と僕。 「水族館に居るから、お魚と同じにして欲しいな」と美姫さん。 そしたら、海老も蟹も【お魚商品券】でいけるのか? 「イカが良いんだったら、海老も蟹
「美姫さん、無人島に行くなら何を持っていく?ひとつだよ。」と僕が聞く。 美姫さんはウーンと考えながら「そうだね……。あっ、家族かな?」と言った。 「家族?。家族をどうするの?」と僕。 「食べ物を取ってきてもらう!みんな一緒だと楽しいし、働いてもくれるし。」と美姫さん。 「それはひとつじゃないような気がする。」と僕が言うと 「じゃぁ、核家族単位でショウとユウとこうちゃんだけでもいい。」と美姫さん。 ん?美姫さんは家族ってどこまで一緒に行くつもりだったんだろう……。 「うーん…。それもひとつじゃないような気もする。」と僕が言うと 「いや、絶対に家族。家族を連れて行けないのなら無人島にはいかない。」と美姫さん。 話の論点がズレているような…。 「でも、何で家族なの?」と僕が聞く。 「だって、ショウとユウは癒し担当で、こうちゃんは何でも担当。私、ショウとユウとこうちゃんがいれば生きていける。」と美
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。 今回は、私の今お気に入りの動画を紹介したいと思います。 ヒュー・ジャックマンも感涙!映画『グレイテスト・ショーマン』「This Is Me」ワークショップセッションの様子 上記動画は、グレイテスト・ショーマンの挿入歌【This is me】です。 この歌を知ったきっかけは障がいのある子を育てていらっしゃるひとりのお母さんのブログです。 私は暗闇を知っている 言われた“隠れてろ お前など見たくない” 身体の傷は恥だと知った 言われた“消えろ 誰もお前など愛さない” でも心の誇りは失わない 居場所はきっとあるはず 輝く私たちのために 言葉の刃で傷つけるなら 洪水を起こして溺れさせる 勇気がある 傷もある ありのままでいる これが私 気をつけろ 私が行く グレイテスト・ショーマンは、19世紀の興行師 P・T・バーナム氏の話をミュージカル映画にし
お父さんと美姫さんとお休みの日にまったりとしていると美姫さんが突然 「そういえば、この家に体重計ってあったっけ?」と言い出した。 雑誌を見ていたお父さんが「うちで体重計が必要なのは、美姫さんだけだからなぁ。美姫さん、体重測らないじゃないか。だから、クローゼットの奥にしまっているよ。」 と言った。 僕とお父さんはスリムだ。 美姫さんは……。 「最近さ、身体にG(★)がかかっているような気がするんだ。」と美姫さん。 Gって何だ? お父さんが、体重計を持ってくる。 美姫さんが体重計に乗る。 「ほらね~。道理で身体が重いと思ったんだよ。私の周りだけ重力がかかり過ぎている。」と美姫さん。 Gって重力のことね。 いやいやいやいや、太っただけだから。 とりあえず僕も測る。 うん、いつもと変わらない。 「美姫さん、僕の体重はいつもと変わらないよ。同じ空間にいるんだから、重力は一緒じゃないの?」と僕が言うと
「お兄ちゃんって将来何になりたかったの?」と僕が聞く。 お兄ちゃんは未だにプラプラしていてちゃんとした定職についている様子がない。 「兄ちゃんの夢か……兄ちゃんはな、兄ちゃんになりたかった。」とお兄ちゃん。 お兄ちゃんになりたかったお兄ちゃん。。。。 僕の頭にハテナが灯る。 「お兄ちゃんは、弟か妹が欲しかったの?」と僕が聞くと 「あぁ、ごめん。兄ちゃんはな、自分になりたかったんだよ。つまり、自分自身のままで大きくなりたかったんだ。」とお兄ちゃんは言った。 自分自身のまま大きくなる……ってそのままじゃないの? やっぱり僕の頭にハテナが灯る。 「どういう意味?」と僕が聞くと 「自分自身をシッカリと持ったまま大きくなりたかったんだろうな。」とお兄ちゃんは言い、「ショウ。自分をシッカリと持てよ。流されるな。巻き込まれるな。ショウはショウなんだからな。ショウ以上でもショウ以下でもない。そして兄ちゃん
学校から帰ると美姫さんが 「ショウ、聞いて!!」と言ってきた。 どうせ、大した話じゃない。でも、聞かないとうるさそうなので 「どうしたの?」とニッコリと微笑んでみた。 すると美姫さんも嬉しそうにニッコリと微笑んで 「私ね、アインシュタインと瓜二つなんだよ。」と言った。 はぁ?はい?意味不明?何言ってるんだ? とうとう頭が壊れたんだな……。と僕は美姫さんが可哀そうになってきた。 なので 「へぇ~。すごいじゃん。で、どの辺が?」と、とりあえず聞いてあげる。 「まずね、人間ってとこ。」と美姫さん。 ……。 「そうだね。他には?」と僕。 「ヒゲが生えてるところ。ほらほら見て見て。私にもヒゲが生えてきたんだよ~」と美姫さんは、鼻の下に生えたムダ毛を僕に見せてきた。 ……。 「そうだね。他には?」と僕。 「髪の毛がモジャモジャなところ。」と美姫さん。 ……それは、美姫さんが髪をとかしてないだけでしょ。
ぼくんちは、ゲームの時間制限が無い。でも、みんな1日1時間だとか決まっている事が多い。 この前もニュースでゲーム時間の制限の話をしてた。 「美姫さん、うちは何でゲームの時間制限ないの?」と僕が聞く。 すると、美姫さんが怪訝な顔をして「えっ? なんでゲームに制限時間しなきゃいけないの?」と聞き返してきた。 「依存症になったりとか、勉強に差し支えがあるとか、トラブルになりやすいとかかな?」と僕が言うと。 「あぁ、それね。」と美姫さん。 「“それ”って?」と僕が聞くと 「大人がね、自分たちのことを言ってるんだよ。自分達がそうなってるから気をつけてねっていう、いわば自分たちの経験談だね。」と美姫さん。 自分たちの事なのか…。 「うちは何で制限をしないの?」と僕が聞くと 「そんなの自分で考えないといけない事でしょ。時間を制限してどうするの。それを制限するなら、勉強もスポーツも1日1時間までって制限し
美姫さんと歩いてると、 「姓名判断無料でします」と書かれた看板と共に年配のおばあさんがいた。 「姓名判断だって、面白そうじゃない?」と僕。 「自分の個人情報と引き換えなんて恐ろしい。偽名でできるならするけど。」と美姫さん。 偽名じゃ駄目でしょ。 と、僕たちの話し声が聞こえたのかおばあさんが 「名前が嫌なら、手相もみれますよ」と言ってきた。 「手相も見てもらえるんだって」と僕。 「僕、見てあげようか~」とおばあさんが言う。 僕が美姫さんを見ると苦虫を嚙み潰したような変な顔をしている美姫さん。 「してもらえば、いいんじゃない?」と美姫さんは言った。 僕はおばあさんの前に座り机の上に手のひらを出した。 おばあさんがじーっと僕の手を見る。 そして顔をあげニッコリと笑い「素晴らしい手相!」と言った。 手相が素晴らしいってなんだ? 僕が「あの、どの辺が?」と聞くと 「全体的にね。」とおばあさんは言った
休みの日、お兄ちゃんと近所であった【チョコレートランド】 という催し物に行く。 色々な国のチョコレートが販売されているらしい。 会場の近くに着くとチョコレートの匂いでいっぱいだった。 「おいしそうな匂いがするね~」と僕。 「ホントだな。楽しみだ。」とお兄ちゃん。 会場をグルっと見渡すと一か所、異彩を放つ場所があった。物凄い行列が出来ている。 「あの行列なんだろう。」と僕が指さすと 「近づいてみるか?」とお兄ちゃん。 2人でテクテク歩いていくとそこは《好きなチョコを3つプレゼント》と書いてあった。 「3つも貰えるんだって。」と僕が言ったが 「ショウ。凄い行列だぞ。並ぶの好きじゃないんだよな。売っているのを買いに行こうか。」とお兄ちゃん。 「そうだね。」と僕も同意する。 《好きなチョコ》と書いてあるだけあって、みんな選ぶから進みも遅い。 それに早い者勝ちだから、人気のチョコはすぐに無くなりそう
「この人たちってさ、ホント多様性を理解してないよね。」と美姫さんがテレビを見ながら言う。 「そういう人が一番、多様性を理解してない。」とお兄ちゃん。 「どういう事?」と僕が聞く。 「多様性を理解するって事は多様性を理解してない人がいるって事も理解しないといけない。って事。多様性を理解しない事も多様性。」とお兄ちゃん。 美姫さんが眉間にしわをよせて、お兄ちゃんにベーっと舌を出す。 「こういう人に限って差別するんだよね。」と美姫さんがさっきのテレビに出てる人の事を言う。 「それも差別。」とお兄ちゃん。 「私のは区別。」と美姫さん。 「僕からみたら差別。」とお兄ちゃん。 「私がしているのは区別。」と美姫さん。 「人が差別されているって感じたら差別なんだよ。」とお兄ちゃん。 「私がしているのは、区別。」と美姫さん。 「じゃあ、色々な人がいる事を理解して受け入れているの?」とお兄ちゃんが言った。 す
美姫さん「あれ、ほらあれ。」 あれって何? 美姫さん「それとって~。」 それってどれ? 美姫さん「あれとこれ、どっちがいいかな?」 どっちって…。あれもこれもわからないよ。 美姫さん「あの人がね。」 あの人って誰? 美姫さん「この間食べたアレがまた食べたい。」 いつのなに? 「美姫さん。コレとかアレとか分かんないよ。もしかして、歳のせい?」と僕。 「何言ってるの。【指示語強化年間】だよ。指示語を強化しているの」と美姫さん。 「指示語って、強化するもの?」と僕が聞くと 「当たり前じゃん。【アレをとって】と【コレをとって】は意味が違うでしょ。」と自慢気な美姫さん。 ホント、言い訳は上手だわ。 「美姫さんってさ、口から先に生まれてきたんじゃない?」と僕が皮肉ると 「口から生まれてくるって…妖怪じゃん。ほら、アレ」と美姫さん。 「アレって?」と僕が聞くと 「頭に口がある妖怪。」と美姫さん。 「食わ
「美姫さん、最近太ってきてるんじゃない?」とお父さん。 確かに…動かないからね~。僕はニヤリと笑う。 「何言ってるの、こうちゃん。これから起こるであろう食料危機に備えてるんだよ。」と美姫さん。 自分の蓄えにするんだな…。 「そんなの蓄えにならないよ。太ってるって事は胃が大きくなってるから人より食料がいるんだよ。」とお父さんが言うと 「何言ってるの、こうちゃん。ショウとユウにあげるんだよ。」と美姫さん。 はぁ? 「えっ?ショウとユウにその肉をあげるのか?どうやって?」とお父さんが言うと 「私のこのお肉をショウとユウの食料にするんだよ。食べさせてあげるの。」と美姫さん。 えっ? 「食べさせるのか?」とお父さんが言うと 「そう。だから、筋肉質の肉は硬いから、柔らかく育ててるんだよ。」と美姫さん。 …ただ、、運動をしたくないだけでしょ。 するとお父さんが「美姫さん、知らないのか?良質な肉は、適度な
僕はいつものように学校から帰ってきてお兄ちゃんちに行く。 「そういえばね、美姫さん 自分のこと『思春期かも~』って言ってたよ。」とお兄ちゃんに僕は報告する。 「母さん、思春期終わってないのかもな。大人って感じもしないし。」とお兄ちゃんが笑う。 と急にお兄ちゃんが何か思い出したらしく 「ショウ。反抗期は気をつけろよ。」と僕に言った。 「いや、反抗もしたくなるよ。」と僕が言うと 「絶対に後悔するぞ。」とお兄ちゃん。 「何で?」と僕が聞くと 「母さん、兄ちゃんが反抗期の時に何したと思う?」とお兄ちゃん。 「何だろう?」僕は頭をかしげる。美姫さんの行動は予測がつかないから全くわからない。 「兄ちゃんがイライラしていると『あら、イライラしているのね。』って言ってな。『こうちゃんに甘いお菓子を買ってきてもらおうね。』って言ったり、イライラしているのをあたたかい眼差しで見ていたり……。」とお兄ちゃん。
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