月の岩石には、月の誕生時に月表面に落下した多数の彗星(すいせい)由来の水が含まれていることを、北海道大学と米国の国際研究チームが突き止め、9日付の科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス」電子版に発表した。 地球の海水の1割も当時の彗星の水の可能性があるという。 月の起源は45億年前、地球に火星サイズの天体が衝突し、宇宙空間に飛び散ったマグマが固まり冷えた「巨大衝突説」が有力と考えられている。 北大の圦本尚義(ゆりもとひさよし)教授らの研究チームは、月の岩石の起源を調べるため、有人月着陸船アポロが1969〜72年に持ち帰った43億〜32億年前の岩石を使い、同じ原子でも質量が違う「同位体」を区別できる、北大の特殊な顕微鏡で分析した。 その結果、月の岩石の結晶中に微量の水を発見。さらにこの水は重い水素原子(重水素)の比率が高く、地球の水より彗星の水に近いことがわかった。