ライターであり小説家の品田遊の著書「名称未設定ファイル」の中に「猫を持ち上げるな」という短編がある。猫を持ち上げるというごく一般的な行為があるきっかけで「虐待ではないのか」と問題視され、いわゆる炎上に発展していく内容なのだが、示唆的なのはこの「過剰動物愛護」的な炎上が単に猫を見たくないという「動物嫌い」の支持を受け、正反対の二者が奇妙な連帯関係を結んでしまうという描写だ。 終わってしまったことを蒸し返すようで悪いが、先日のcakes記事ホームレスを3年間取材し続けたら、意外な一面にびっくりした 記事の炎上はこの短編を思い起こさせる側面があった。件の記事は、「(救われるべき)社会弱者としてのホームレス」という同情的な視点を遮断し、非干渉的な態度での観察を試みているもので、一般的に不気味なものであることは間違いなく、また「弱者をコンテンツ化するな」という批判はまっとうだといえる。 しかし、それ
![弱者はなぜ非弱者を不快にさせるのか|小野ほりでい](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/49c57c9aae0b1290dc2fb80aa84c6f234061a15d/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F39600271%2Frectangle_large_type_2_6d7948cea3820f97829d2a4415296332.png%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)