最後の最後に自分のところに大きなチャンスがやって来た。 しかし、左足を振り抜いた瞬間「あ、外れる……」と分かる感触だった。 スローモーションのように転がるボールは、ゆっくりとポストの右を通過した。 全国高校サッカー選手権3回戦、青森山田vs.長崎総科大附戦のラストプレー。この瞬間、青森山田・中村駿太の“覚悟の1年”は幕を閉じた。 「最後、自分のシュートで終わってしまったことが頭から離れません。せっかく突然やって来た俺を、ここまで温かく迎え入れて、チームの一員にさせてくれたみんなに。本当に申し訳ない気持ちで一杯です」 試合後、大きく肩を落とした中村だが、青森山田での日々を聞かれると、「自分の意志で青森山田に来て本当に良かった。一切の後悔はありません」と力強く前を向いた。 高3で下した柏ユースから青森山田転入の決断。 彼にとって青森に来ることは「人生を変えるほどの決断」だった。 2017年3月