この本『日本語が亡ぶときー英語の世紀の中で』は、ぜひ読んでほしいです。NYで育ったバイリンガルの作家である水村美苗さんが、世界中が英語という「汎用語」に覆われる時代について、日本など英語を母語としない人たちがどのような課題に直面するか、非常に深く洞察した1冊です。 そもそも人類の知識などは、ラテン語であったり、漢語であったりと、ユニバーサルな言葉を通して蓄積された歴史があり、多くのローカル言語をもつ人たちは、そうしたユニバーサルな言葉を通してしか、知識や科学にアクセスできなかった背景なども描いています。 その上で、素晴らしい文学なども生むようになった日本語の稀有さと、国際プレゼンスや知識をあつかうための英語という、2つの世界を往来しなければいけないという、21世紀の生き方について示唆に富む内容になっています。